半熟ドクターのブログ

旧テキストサイトの化石。研修医だった半熟ドクターは、気がつくと経営者になっていました

できないことを楽しむ

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自宅の愛機。
暑くなってきました。
しかし最近は「クールビズ」という一言で無作法がある程度許されるので、ありがたいといえばありがたいです。
しかし、クールビズの割には、ホテルなどの会議や会合を行う舞台は、冷房効きすぎていますね。

高齢ニッポンでは、エコを優先して、空調の温度をゆるめると、たぶん身体に良くないような気はします。
まあ、高齢の人々がいつまでも生き続ける現代のあり方そのものが、エコではないでしょうがね。*1


* * * 

私は40歳前から、ピアノを始めました。*2
家を建てたときに、分不相応なピアノを購入したもんですから*3、嬉しくって触っていたんです。
私はジャズトロンボーンを30年くらいたしなんでいて、コード進行は一応理解してますし、メロディーもとれるしソロも作れる。まあ音楽知識としての下地はあります。
ただ、ピアノの修練は積んでいないので、どうにも手が出なかった。
ピアノに興味はあり、例えばジャズピアノの愛聴盤は沢山ありましたが、ジャムセッションやライブで、ピアニストの名手の技術を目の当たりにすることが多い自分にとっては、そういう人達の中に混じってピアノをやろうという気にはならなかった。
ですが、自宅のグランドピアノの音の心地よさに、ついつい家ではピアノを触ることが多くなり、
気がつくと、それなりにコードも押さえ、メロディーも弾けるようになっていました。

で、4-5年前くらいから、覚悟決めて「なんちゃってピアノ」から、「ピアノです」という活動の枠を増やしています。*4
今では、人前で歌謡曲やジャズのソロ演奏もしますし、ジャムセッションでピアノを担当したりもします。

一部レッスンも受けたりはしましたが、基本的には独学で、やっています。
こういうジャンルについては、別にヤマハのグレードとかありません。
ジャムセッションなどでピアノを弾くことは、オープン参加です。
まあ恥知らずなら弾けるわけです(笑)。

ただ、ピアノ弾きとしては、全国に1000万人くらいいるピアニストの末席に参入するわけです。
トロンボーンはともかく、ピアノで「勝つ」ことは、さすがにできない。

* * *

私は、医師であり、500人くらいの事業体の経営者でもあります。
受験戦争でもどちらかといえば勝者であり、控えめにいっても職場での自分の立場は、優位な地位にあるといえる。
そういう人は、基本的には負けず嫌いで、自分が人より劣っていることが許せない、と思いがちです。

そういった性格は、例えば目標達成のため頑張る、という面では有利にはたらくものです。
しかし、その反面「かっこ悪い」戦いをよしとしません。
だから、勝てない争いには参加しない、できないことに手をださない、ともなりがちでもあるのです。

こういう性格の人、プライドが高く、負けず嫌いで、なおかつ勝ってきた人が、歳をとればどうなるか。

* * *

医師として高齢者の方々のお相手をさせてもらっている経験ですが、こういう人って、歳をとったとき、能力の割に新たなことにチャレンジできない、というパターンに陥りやすい。
歳をとって連れ合いが倒れてしまっても、一切家事をしようとしなかったりする。
骨折してもリハビリに消極的だったり。
認知症になっても、デイサービスに通ったりも、しなかったり。
大きな病気をしても、喫煙習慣もやめにくかったり。
本当、プライドが邪魔をするパターン。

だから、まだ元気なうちに、
できないことにチャレンジできる性格になっておいた方がいいかなあと思います。
めちゃくちゃかっこ悪くても、やらなきゃいけないことを進んでできるようにしないといけない。

僕も、家事、料理とか、今僕は全然しなくなっているけど、ちょっと始めてみようかしら。
妻の手伝いをしてみようかなあ。
球技とか、ヒップホップダンスとかやってみようかな。
英会話も苦手だしなあ…

つまらないプライドは引き出しに放り込んで、性格の角を丸くして、できないことを始めてみようかと思っています。

それに、まだ、自分の歳なら「できない」ことをやっていても「できる」ようになる余地はあります。ピアノもそうでした。
その成功体験を元に、できないことに平然とチャレンジできるマインドが育てられれば、もうちょっと年老いて「できない」ことができないままでもチャレンジはできるようになるんじゃないかなと思う。

だってだってのおばあさん

だってだってのおばあさん

これは少しニュアンスが違うけど、そういやこんな本もありましたな。
年齢を言い訳にせず、なんでも軽い気持ちでやってみたらええやん。

逆に、仕事で「負け組」的な人は、プライドが過剰に折られて卑屈になっている人もいます。
こういう人は、一つ他を圧倒するような特技とか、趣味とかがあると、プライドを守ることができますよね。打ち込む趣味をしっかり育てておくのも大事です。
そういう人、セッションで会ったりしますが、精神衛生上もいいと思いますね。


*その他のBlogの更新:

*1:かといって何か積極的な策のとりようはないですけれどもね。

*2:ま、ジャズ研所属の青春時代でしたから、ソロのトランスクライブなどはキーボードを使ってましたけど、いわゆる両手を使って演奏をするPiano Playはできませんでした。

*3:妻や子供が弾く目的でね。ちなみに地下にスタジオなんぞも作ったりしました。

*4:とはいえ、東京に出て行ってセッションする時はピアノでは参加しませんし、プロと共演する時には、第一言語であるトロンボーンでやります。