コロナ禍による長い中断を経て、2023年、病院マーケティングサミットが4年ぶりにリアルで開催された。*1
舞台は、意外にも武蔵野美術大学市ヶ谷キャンパス。
初めは「なぜ美術大学で?」と疑問だったが、これには深い意味があるようだ。
美術大学で学ぶ「デザイン」は、単に視覚的な美しさだけでなく、システムや組織構造のデザインにもその思考が及ぶ。
デザイナーは、抽象的な思考や課題の抽出において、独自の強みを持っている。
まさに、医療業界が必要とする新しい視点だ。
今後こうした他業種の強みを医療でも活かしていくことが必要だよなあ、と痛感させられた。
昼休憩のワークショップでは、学生たちが地域社会でのアート作品展示(インスタレーション)を通じ、地域との関わり方を提案していた。
美術系の学生と交流し、街を一緒に歩いてご飯食べてという体験はめっちゃおもしろかった。
新鮮な驚きもあり、医療業界における地域との関係性について深く考えさせられた。
サミットはリアル開催が日曜日、その後オンラインで月火水の3日間にわたって開催された。
病院ファンづくりの地域取り組み事例が多数紹介された。
「甲子園」と題して、各地区からの演題を「地区予選」形式で紹介し、視聴者は投票で評価する。その評価によって「本選」に進む。
ゲーム性ありインタラクション性ありでおもしろかった。*2
オンラインの使い方を熟知してるなあと思った。
コロナ禍以前のマーケティングサミットは、他業種の新風を医療業界に吹き込むという鼻息の荒さもあった。
ちょっと若気の至り的な感じもあったと思うし、他業種からの資金もあって派手な感じもあった。
しかしコロナ禍を経て、この会はずいぶんと深化したと思う。
結局「地域社会への真剣なコミットメントなくして病院の未来はないよね」という地に足のついたメッセージが前面に押し出され、より現状に即した実践的な方向が明確になりつつある。
残念に思ったのは、まだまだ内容の割に参加者が少ないこと。桁二つ多くてもいい。
オンライン参加は無料であり、すべての医療関係者にとってかなり有益な情報なのに……
*3。
もっと多くの医療関係者がこの貴重な機会を活用してほしい。
サミットのアーカイブはLINEで登録すると視聴できる。
ぜひ多くの医療関係者に見てほしいなあと思うのであった。