半熟ドクターのブログ

旧テキストサイトの化石。研修医だった半熟ドクターは、気がつくと経営者になっていました

コロナのことを考える限り、衆議院選挙の後の日本は詰んでいるのでは

コロナ・コロナ・コロナ…(Covid-19, SARS-CoV-2)

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2021, 広島県(古民家にて)


さて、衆議院選挙である。
(その前に自民党総裁選だけど)。

衆議院選挙は、日本のこれからの方向性を決める大事なプロセスであると思う。*1
だが、現状を見る限り、どういう選択がなされてもうまくいくとは思えないのだよなあ。

菅さんはやることを絞って粛々と実行したと思っているが、残念ながら、国民にそれを説明することが上手くなかった*2。結果、支持率は上がらず、自民党総裁を再任される力を持ちえずに、再出馬さえもできなかったわけだ。

次の総裁選で、どれだけ自民党菅内閣に欠けていたTransparency(透明性)を持ちうるのかはわからないが、前提条件がマイナスからの出発であるのだから、自民党の大衆人気がすごく増える可能性は低い。
自民党が躍進する可能性はどうみても高いとはいえない。

しかし対抗馬である野党で、このコロナ禍で、非常にクレバーな見通しと選択をして国民の信頼を得たような政党も、ない。
残念ながら、自民党に取って代わりうる政権運営能力を期待できる政党も、ない。
その意味では、どの政党もコロナ禍で大幅に得点を増やしているようなところはない。

悪い意味でのどんぐりの背比べだよね。

では、自民党が勝つにしろ、負けるにしろ、6:4とか4:6とか、そういう感じになるだろう。
圧倒的な政権基盤を持った政権与党は、現状からはちょっと予想できない。

コロナ禍では意思決定の速さこそが決め手となる

しかし、コロナ禍ではっきりしたのは、民主主義国家よりも独裁国家(中国やロシア)のほうが、うまくコロナ禍の中でマネジメントができているという事実だ。
ある種の戦時体制と同じで、迅速な意思決定が要求される。
孫氏の兵法にも「巧遅は拙速に如かず」なんて言葉あるじゃないですか*3
意思決定に迷いがあったり意思決定に月単位の遅延が起こるようでは、うまくいくものもいかないのである。

政権のイデオロギーによるカラー云々ではなく、そして、能力に優れているかどうかでもなく、意思決定が迅速であるかどうかがコロナ対応の必要条件となっている。
なので意思決定が迅速であるがゆえに独裁国家はうまくマネジメントができているように思われる*4

おそらくではあるが、菅内閣もそのあたりの風潮*5を踏まえた上で、国民を安心させることよりも、意思決定をきっちり行い、事をすすめることを優先させたんだろうなと思う。(ただ彼の誤算は「やることやったら国民はわかってくれる」という期待だったのかもしれないが、それはちょっと見通しが甘かった)

そう思うと、衆議院選挙のその後、どうなるか。

仮に政権与党の政権基盤の強みも失われてしまうのであれば、現在よりも政権運営の難易度は上がってしまうはずだ。
政権の基盤が弱ければ、どんな意思決定をするにしろ、各方面に配慮して根回しを行い、丁寧に国会審議を重ねる、ということが必要。
だが、それはコロナ禍ではそういうプロセスは全く適していない。
平時ではないのだから。

仮に、かつての小沢一郎のような策謀家が動いて、野党連合なり、与党が野党を切り崩して連立政権化を行うことができたら。
強い政権基盤を作り出し、強行採決で何でも通せる、くらいの状態にできたら。
そうすれば、コロナ禍および、それに付随して激動する国際情勢の中でやっていけるかもしれない。

でも多分そうはならなくて。
なんか中途半端に自民党が勝利して、
でも八方美人的な態度でなきゃいけなくて、
もさもさっとした意思決定で、大事な局面で手が出せずにオウンゴールみたいな感じになるんだろうか。

と考えていると、秋口からは、コロナ対策になんか大きな舵取りが必要じゃないかとは思うけど、どうなるんでしょうかね…。
とか思っちゃう。
まあいいけどさ。
あと、来年度の診療報酬改定ね。
ほんましっかりしてくれな困るよ。


*1:もちろん衆議院選挙では何も変わりゃしねえよ、というシニカルな意見もあるだろう

*2:あるいは、為政者の視点では説明してビジョンを共有すると、それに対して対抗策を取る輩がでてきて、上手くいくものも行かないのか?とも思うが、片がついた事例についてはもう少しうまく説明してもいいんじゃないか、とは思った

*3:実は孫氏はそうは言っていないらしいが

*4:まあこれもうまくやっている「ように見える」だけかもしれない。独裁国家は情報を統制することもできるし、コロナ禍で世界がオープンではなくなっている現状こそ、独裁国家にとっては有利ではある

*5:初期段階での中国の封じ込めの成功