衆議院選挙が終わりました。
これは自民党総裁選の前に書いたもの。
自民が勝つにしろ負けるにしろ、今よりは議席を落とし、求心力は落ちるだろう。
それは、コロナという即応を求められる災厄には向いてないよな、という話でした。
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蓋を開けてみれば、自民党が議席を落としたけれど、政権与党にとどまるという順当な結果。
確かに議席こそ落としたけれども、前回が安倍長期政権の盤石な体制ということを考えると、議席の減りは最小限だったし、減ってもなお安定した政権運営が可能であると思った。
今回はむしろ激戦区にて自民党が競り勝つ局面が目立った。事前の政権支持率を考えると、かなり敢闘している。十分危機感をもって選挙対策戦術を練り上げて選挙戦を戦った結果の勝利ではないかと思う。
ただ甘利氏が小選挙区で敗れるという大波乱があった。
これは事実はともかくストーリーとしては「党本部の選挙対策は拙劣で、応援のない中、地元勢は奮闘した」みたいな感じで甘利さんが去るという流れになりそうな気がする。*1
これは、甘利に気の毒ではあるが、勝利に預かれなかった人の恨みを甘利氏を戦犯にすることで免罪できる効果があり、自民党本部にとっては、避雷針的に大きな効果があったような気がする。党としても信賞必罰は引き締めにもなる。
一方野党側の劣勢がかなり気になった。
はっきり言えば、野党はきちんとやればもう少し勝てた局面のはずだった。野党共闘という良識ある人間が眉をひそめるような裏技を使ってまで*2立憲が議席を減らしているという現実は、かなり厳しいと認識した方がいい。共闘しなかった野党が議席を伸ばしている事実は、これがいかに不興をかったかを示している。
今回の選挙で失ったものが最も大きいのは立憲民主党だろう。枝野氏の今回の総括も、うなづけないところではあった。
この党は政権を交代する資格はないよなあと、改めて思った。きちんと現象を直面視できない人間は、権力を持つべきではない。
しかし、枝野氏以下立憲のシャドーキャビネットのお歴歴が仮に深く反省し、引退しようとしても、それを埋め合わす人材もいなさそうである。*3
劣勢な団体は、人材難なのである。
仮に現首脳陣が能力を満たさなくても、それにかわる有為な人材はさらにいない。
三国志の「蜀」のようなもので、姜維が力不足でも、姜維と心中するしかない。
結局、官僚の政策提言をうまくコントロールするような実務家って、官僚出身か企業家の、ごく限られた人材。日本に1000人いるかどうか。その1000人の取り合いでいうと圧倒的に自民党が優勢なのである。それを欠いた党はいくら理想が高邁だとして政権運営はできない。
ほら、やる気だけあっても、楽器演奏経験がなかったら、バンドできないじゃないですか。
一握りのアジテーター(ボーカルみたいなもんだ)を除けば、政治はやはり経験がものをいう世界だと思う。
今回の選挙では、日本のマスメディアの影響が減殺されたような印象があった。コロナ禍のために、中央と地方との分断があり、中央のマスメディアの報道の意向を忖度しなくなったのかなあ、なんて思ったけれど、真相はちょっとわからない。
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今週末のコロナ感染者数は不気味に増えていて、さすがに緊急事態宣言から1ヶ月がすぎ、再上昇に転ずるのか…というところがやや気にはなる。
選挙戦で、すっかり人流は戻った気分になっているが「忘れた頃にコロナ」。
次のステージが始まっちゃうんだろうか。