半熟ドクターのブログ

旧テキストサイトの化石。研修医だった半熟ドクターは、気がつくと経営者になっていました

2008-12-08

ところで、忙しい病院にお勤めの方々、

最近、患者減ってません?

秋から冬になると、肺炎とかの呼吸不全も増えるし、脳血管障害、心血管イベントも増える。お年寄りは気候の安定している時よりも冬に亡くなることが多いもんです。大体12月くらいになると、結構いろんな病気が増えてくるような印象があるのです。

 病院のベッドもそれにつれて満床状態が増えてくるし、救急外来で診療をしていて感じるのは、たとえていうと「水かさが増えた」というイメージ。

 でも、今年はどうも、この水かさの増え方が、鈍い。というか、全然水かさが増えない。シーズンに入ったという雰囲気が非常に希薄で、救急外来は、総じて平穏なように思うわけですよ*1

 うちの病院はいわゆる自治体の基幹病院で、緩やかに沈みつつある途中。昔もう少し内科医が多かったころは、いわゆる生活習慣病の患者さんも沢山罹っていたのですが、昨今の医師不足で、数年前から軽症の慢性病の人たちは地域の開業医にあらかた放出しており、外来の枠も相当閉めてしまいました。現在は開業医からの紹介と救急で重症患者を拾い上げているという現状で、そういう(患者を囲い込んでいない)背景がこういう事態を招いているのかもしれません。*2

 ここからは僕の勝手な想像ですが、今かなりの不況ということですから、今まで時間外診療に「コンビニ感覚」で来ていた様な層が、軽症なら受診を手控える、もしくは残業がなくなったもんだから、時間内に近くの開業医のところに罹る、とかそういうことになっているのかも。例えば僕今日当直なんですけれども、まだ一人も呼ばれていませんし。

 いわゆる「まじもん」の(入院が必要な、救急車で運ばれてくるような)救急はそれほど減ってはいないように思いますが、もし今後受診抑制が起こってくるなら、もう本当にどうしようもなくなってから救急車で担ぎこまれる人が増えるわけで、それは、なかなか重症化して大変だし、DPCになってからはそういうの儲からんし、困ったもんです。

 とはいえ、僕がこの救急外来の状態を憂えているかというと、もうすでに自前の内科医だけでは救急を回せなくなって、開業医の先生が月に10回くらいヘルプに入っているという段階ですので、まあ、別にいいんですけれども、病床稼働率などを気にするべき上の先生方にとっては冷や汗たらたらなんじゃないかなーと思うわけです。

 うちだけなのかな?

*1:もちろんこれは平均でありまして、「舐めたこと言ってごめんなさいもういいません」と涙目になる日もあります

*2:例えば救急から患者を拾い上げると、癌診療などにしてもStage IVばっかりが増えるわけでして、はっきり言って治療としては面白くねえわけですよ。儲からないし、患者満足も低いし、治療成績も悪いから、医者満足も低い。