わぁ、気がつくと新年度である。
なんかやたらと忙しい年度末が終わり、個人的には新年度は少しのんびりしているはず。はずなのだが。
外来通院
昔は外来通院において内服薬というのは14日が原則であった。
甲状腺疾患とか、若い勤労世代に多く、長らく病状が安定している限られた疾患限定で、長期処方が認められていた。
こうした制限は、昭和のある時期に撤廃され、事実上診療間隔は自由に決めてよくなった。*1
とはいえ、受診間隔が伸びると、外来の「のべ」患者数はテキメンに減る。
単純に1ヶ月ごとに薬だしている人が2ヶ月ごとになったら、1日の外来患者数は半分になる。
なので、基本的には無床診療所で診察は1ヶ月分内服処方というのが通例というか「暗黙の掟」であった。
ところが、基幹病院や病院の外来では、特定の医師の外来は飽和してくる。
そうすると、2〜3ヶ月ごとの受診に伸ばしがち。長期処方になりがちである。
病院に来る患者さんの多くは採血などに基づいた治療変更を行っているわけで、一月毎に内服3〜4ヶ月ごとに採血、とかだったら、間の内服だけの受診に、あまり意味を見出しにくい。
私の外来もそうで、枠がもう埋まらなくなってくると、受診間隔を伸ばさざるをえない。
患者さんからみて、1ヶ月ごとに受診するメリットはそれほど多くない、というかほとんどない。
(トータルの医療費も増えるし、むしろ時間、タイパが悪すぎる)
患者さんにとっては長い方がいいし、医療サイドの収益面からすると頻繁な方がいい。*2
その力関係によって受診間隔は決まっていた*3
で、受診間隔の正解が何かは、今ひとつわかりにくかったのである。
そこはおそらく政治マターの世界であって、各種ガイドラインにも治療目標などは掲載されるけど、受診間隔というものに踏み込んだものは少なかった。
3ヶ月
ただ、ここ最近は受診最大間隔は「3ヶ月」であるというのが正解なんだろうな、と思われるような出来事がいくつかあった。
根拠はいくつかある。
1:定期受診のオンライン診療については「対面診療を約3ヶ月を目処に、その間をオンライン診療で補完」という文言で、
3ヶ月ごとに実診療を挟むことが義務付けられた*4
CPAPなどの遠隔モニタリング機器についても同様に3ヶ月の縛りがある。
ここ最近、外来での長期処方を、たとえば91日処方をわざわざ1日削って90日処方とする例があった*5
以前から、頻繁に検査すると切られる項目として「尿中アルブミン」「PSA」などあったけれど、この辺りも3ヶ月のしばりがある。
3ヶ月という外来のインターバルは、実臨床においても、内服している患者であれば、これ以上間隔あけると、急速にアドヒヤランスが落ちるという感覚はある。
3ヶ月という数字はまあ落とし所としては悪くないのかなあと思う。
ただこの辺を、もっと大々的に「3ヶ月ですよ!」とアナウンスしてくれたらいいのに。
レセプト査定でネチネチ削ってくるのは、昔ながらの「由らしむべし知らしむべからず」スタイルで、あまり好きではない。
*1:むかしBlogとかもなかった時代に、自己責任がきちっとしている患者さんだったら僕は365日処方もするよ、みたいに書いていた開業医の先生の記事をみたことがあった
*2:もちろん状態
*3:もちろんたとえば非常にコントロールの悪い糖尿や肝疾患・腎疾患の患者さんは毎月受診し毎月ごってり採血が必要だったりもするが、状態の悪い患者さんに限ってアドヒヤランスも悪く、毎月受診をいやがる、なんてパラドキシカルなこともよくある
*4:2020年までのルールではそうなっている。2022で撤廃されたという風には聞かないが、実はオンライン診療に関するルールは結構なスピードで変わっているので間違っていたら指摘いただきたい
*5:広島県独自ルールなのかもしれない。ただ、関西ではB型肝炎に対するバラクルードは90日以上だと問答無用で切られるというルールは聞いたことがあった。