半熟ドクターのブログ

旧テキストサイトの化石。研修医だった半熟ドクターは、気がつくと経営者になっていました

ウェラブルセンシングの次の段階

2023, 鹿児島

この前モダン・ホスピタル・ショウに行ってきた話をした。
hanjukudoctor.hatenablog.com

コロナ前から「モダンホスピタルショウ」関西で行われる「メディカル・ジャパン」は必ず視察に行くようにしている。
新製品をチェックするため。
新しいものを入れないと、病院なんて、すぐ陳腐化してしまうのよ。
だいぶ前から「ウェラブルセンシング」部門が伸びている。
IoTと総称される進歩なのだろう。*1

ウェラブル・センシングにはいろいろな種類があるが、

  • 個人が身につけて個人の活動を記録し、活動性や消費カロリーなどを記録するもの(FitbitやApple Watchタイプ)
  • RFIDのようなタグを装着し個人や機器の動線をチェック。(人員配置や物品の最適化を分析。工場とかの動線分析に多い)
  • 要介護者や入院患者に対し、ベッドの下にセンサーを仕込んで、体動・呼吸などのバイタルサインを記録し、睡眠覚醒や転倒徘徊に役立てる(介護見守りサービスやパラマウントベッドが代表的)

に大別される。
同時に、AIの進歩で、顔認証システム(主には顔認証によるゲートウェイがはじまりだった)などの映像解析も長足の進歩を遂げている。
画像系のAI診断は実用レベルに達しているし、スペシャリストの立ち位置はこれらのAIの補助なしには考えられなくなってゆくだろう。

目と触覚の情報の統合には脳が必要

結局のところ、センシングは触覚であり、映像解析システムは目だ。
では、その情報を統合するのは「脳」にあたるシステムになる。
これがなかなか出てこない。
私がほしいのは、ある建物内の、人物をすべて認識評価するようなシステムだ。
個人を追いかけるシステムではなく、集団を見守るシステム。
マンツーマンディフェンスではなく、ゾーンディフェンス。

廊下や待合室にはカメラを設置する。なんなら社員証RFIDタグが必要ならつけてもいい。
RFIDタグと防犯カメラの映像の映像を組み合わせ、建物のどこにどういう人がいるのか、を一元的に管理できないか。
昔のSFとかで「マザーコンピューター」と言われるようなやつね。
すべての空間に映像装置がなくてもいい。情報が不足している部分はざっくりとでいいのだ。

これがもしできるならば、

  • 外来の待合室にいる患者さんも、付き添いの人も常にトラッキングする。待合室にいる患者さんが不必要に待たされることが防げる。
  • 警備・防犯システムの大幅な簡素化
  • 職員の出勤・退勤の管理。労務管理(働きすぎもサボりすぎも
  • 1日の勤務の動線管理や人材の適正配置
  • 職員の健康経営
  • お見舞い・面会の管理。
  • 認知症の患者さんの徘徊や無断離院の防止

が、マンパワーを要さずにできるはずだ。
人感センサーと組み合わせて、光熱費の最適化も、将来的にはしてほしいとは思う。

ぶっちゃけ、まずまずハイパワーなPC一台と各種カメラとトラッカーがあればできるはず。
ホテルや病院など、人の出入りの多い職場ではこういった人の管理がとりわけ重宝されるはずだ。

今ならイニシャルコスト1億くらいでも導入したいと思う。
おそらく「当たり前」になる頃には 2000-3000万くらいの値段だとは思うけど。知らんけど。

*1:割と業界動向は抑えているが、その割に投資は遅めである。中小病院だからね