半熟ドクターのブログ

旧テキストサイトの化石。研修医だった半熟ドクターは、気がつくと経営者になっていました

コロナのゆくえ

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2020, 庄原

コロナ・コロナ・コロナ…
新型コロナウイルス(COVID-19, SARS-CoV-2)。
なんとトランプ大統領も陽性になったんだって。*1
全体の感染状況は、やはりGo Toキャンペーンとシルバーウィークからじわっと増えている印象ではあるが、私のいる地域でも時々陽性者はでるものの、爆発的感染も、蔓延化も起こってはいない。

秋から冬になる。
インフルエンザの重複・同時感染は怖い。
ただ、ここまで海外渡航が制限されている状況って、インフルエンザが流行するのはかなり難しいようには思う。
マスクと手洗いをきちんとしてコロナが防げるのであれば、インフルエンザも同様に防げるはずだ。
なんとなくだが、コロナウイルスも「感染流行は弱毒化とトレードオフである」という感染症学の大原則に沿うのではないか、なんて期待してしまう。

どうなんだろう。
答え合わせは来年だ。

ただ、振り返って考えると、日本の感染症チームの専門家会議のリードも、政権も、まずまずのバランスでマネジメントしたように思う。
もちろん被害は甚大で、経済的な被害も、感染症による人的被害も両面、相応にある。

しかし、より厳格に感染防御策をとれば、今以上に経済が死んだ。
より感染防御が甘ければ、もっと死者は増えていたはずだ。
その意味では、まずまずのバランスがとれたのではないか、とは思う。

それに、世界の流行動向などを見つつ、柔軟に軌道修正もしている。

野党の批判はわかるけど、これ以上のいいバランスの取りようはある?
いまだにPCRの検査の数の批判を鬼の首をとったようにしている人もいるけど、もうそれは争点ではない。
PCR検査はまあまあ数を増やせるようになっている)批判のための批判ではないかと思う。

* * *

医療機関の被害はまずまず甚大だ。
そもそも病院事業は制度ビジネスで単価も決められている。
経営戦略としては、経営効率をあげるには、稼働率と件数を増やすしかないのである。
でも、利益が上がる分野については、厚生労働省が目をつけて、不公平がでないように2年ごとに診療報酬の改定を行う。
「生かさず殺さず」の状態にしてきた。
だから、病院の利益率の平均は1-2%だし、10%〜20%の病院は常に赤字ということになる。

要するに、余剰が生まれないように政策によって調整されている。
コロナはここを直撃した。
大きな病院も、クリニックも、少なくても5%、多いところでは 15%程度の売り上げ減となっている。
となると、利益が確保できないのは当然のことだ。

病院については国はまずまずの財政出動を行なっているけれども、理由はそんなところにある。
そもそも年々企業努力によって生じた利益を削っている業界だからだ。
とはいえ、病院団体での報告書によれば、夏のボーナスは7割の医療機関が満額出したというからまだ絶対的な危機には至っていないのかもしれない。需要はまああるわけだし、イベント会社とは違う。

いずれにしろ、病院の整理統合・統廃合の流れは、コロナというブラックスワンによって、1〜2年止まるだろう。
もともと財務状態が悪いところも、いいところもコロナは直撃し、バラマキの財政援助を受けたからだ。
ただ、中長期的な財務状態の毀損を早めるので、そのあとの整理統合にむけて水面下では大きな動きがあるのかもしれない。

個人的には、病院経営そのものは今のフレームが続く限りは水平統合化が避けられれないと思っているんだけど、コロナがその趨勢にどれほど影響を与えるのかはわからない。Dxなどはスケールメリットがあるので、中小規模の劣位は避けられないのかもしれない。

ただ、他の業界と同じく、医療も、変革や再編を促すであろうという予想と、逆にコロナの火事場であるから革新の波から保護される領域と、両方があるのではないかと思う。どっちに転ぶのか。どちらの世界線が優勢になるのか。

まあ、そんなことを思う、秋の夜。
とりあえず半年はいい感じで終えたけど、この先はどうなるのかな…

*1:ステロイドのためか、やたらハイになっているようなTweetが目立つが、一体どうなるんだろうか…あっさり回復して勝利宣言してくれそうな気もするけど