半熟ドクターのブログ

旧テキストサイトの化石。研修医だった半熟ドクターは、気がつくと経営者になっていました

誕生日

f:id:hanjukudoctor:20200927120907j:plain:w300
誕生日を迎えまして、46歳になりました。
46歳ってね……ふー。
精神年齢って多分28歳くらいから変わってないですね。
先史時代の平均年齢は20代。だから生物の個体史を考えると30代以降は想定外。
我々は長い長い老後を生きている。

それでも45歳は節目感があった。
「アラフィフやん?」という言葉に結構なインパクトがあった。
ただ、46歳は節目感ないね。「……アラフィフやん…」って感じです。
長い老後。

* * *

2020年はみなさんと同じくコロナで激変でした。ただ、世間一般の動向よりは穏やかだったかも。

職員のみんなは頑張ってくれてます。業績は多少落ちたものの健闘してます*1。コロナ禍は医療従事者にとってはリスクと恐怖はありましたが、飲食関係・イベント関連関係、繊維・自動車関連の工場勤務の方々、業種ごと消滅の危機にさらされる恐怖に比べるとましです*2

いずれにしろ言えるのは、コロナは、今まで営々と続いてきたものが今後も続くとは変わらない…という根源的な不安に直面させられた、というのが本質なんだと思います。
先のことは、本当にわからない世の中。
来年はどうなっているんだろう?
戦争とか始まっていたらいやだな。

コロナ前は、毎週末に東京などに出張に出かけていたのが、Stayhome月間からぱったり。
生活リズムは大幅に変わりましたけど、これも珍しい話じゃない。

今ひとつな自分を受け入れる。

今の医療法人の理事長という立場になって5年目。
最近は節目がなく、平凡な日常が続くのが悩みでしょうか。
自分の読みが大当たりして業績が飛躍的に伸びるなんてクリティカルヒットもないし、逆に致命的な失点もありません。
すごく優秀な職員もいるし、普通な職員もいるし、残念な職員もいる。優秀な職員も、組織内部の問題で辞めてしまう、なんて残念なこともある。
そういうことが続くときは続く。そうすると、だれしも自分が優秀なプレイヤーであると思いたいものですが、とてもそうは思えなくなってきた。
バッターでいうと、2割6分くらい。
レギュラー落ちはしないかもしれないけど、4番バッターのように衆目を集める存在ではない。

リアルワールドは、治験のようにはいかない…って感じでしょうか。

自分にはまだまだできないことがたくさんあります。
医療についても、素晴らしいとは程遠いし、英語でうまくコミュニケーションもとれないし*3、旅慣れてもいません*4
勉強したいことがたくさんあるのですが、時間と体力は有限かつ尻すぼみ。
このまま行けば着地点はよくてもこの辺だしなあ…となると、モチベーションも削がれる。
しかし、しなければ、この超流動的な情勢に対応できない。
やれやれ、でありますよ。
……ていねいな村上春樹出てきたね。

隣の芝は青い

 去年からTwitter閲覧と書き込みが増えました。
いわゆるツイッタランドの医クラ。*5
Twitterの怖いところは行動範囲が広くなったわけではないのに、精神世界が広くなったように錯覚するところ。
すごい人たちのすごいTweetはためになることもあるし心乱されることもある。

心乱されるのは、自分の心が弱いせいです*6
SNSとの距離感の保ち方に気をつけて心を穏やかに生きていきたいと思います。

職場の話

最近は組織の内部の話に悩んでいます。

医療法人・社会福祉法人全体のスローガンは簡単です。
「10年後の普通を目指す」これです。

アンテナをはって新しい情報を仕入れる。
ICT、働き方改革などをうまく取り入れて、早めに対処してゆく。
これをきちんと行えば、周囲に比べて相対的に3-5年進歩した優位性を保つことができる*7
うちは中小病院。職員もどちらかというと「リスク回避型」のキャラクターが多い。
スペシャリストとして大成したいという野望を持つ人の職場ではない。その意味では優秀でやる気のある人がどしどし入ってはこないところ。*8
でも常日頃からこう公言しているので、新しいものに対して抵抗感がないし、比較的おもしろがって受け入れてくれる土壌になっています。

最近悩んでいるのは、組織の中の話。
職員同士や部門同士の軋轢・さや当てのようなものです。
これってアクアリウムの維持に似ていて、常に注意を払って適切な介入をし続けていないと、あっというまに濁って快適な環境が損なわれてしまう、ということが数年でわかりました。普遍的で、そして終わらない問題だとは思います。
ある瞬間「この職場最高〜!」と思う瞬間があっても、物語はそこで終わりではない。
新たな章に進むと、かなりしょっぱいことが起こったりもする。
そういうことが繰り返されると、マネジメントに全幅の自信なんて持てないですね。

ややセクショナリズムが目立ってきたので、チーム(部門)を超えて職員交流をしようという目標を今年はたてました。
しかしこれにはミドル層のマネジメント能力と、職員同士のコミュニケーションスキル。それから、部門同士の業務の責任の所在、外集団・内集団の定義の明確化など、全方位的に組織文化を変えなければいけないし、うまく行くためには数年間はかかるのではないかとは思っています。

* * *

プライベートでは、去年の秋にはトロンボーンをやめる、と宣言しました。
歯を治すためです。

しかし実際に歯科に通い、まずまずの「工事」を続けていますが、抜歯やインプラントまで覚悟したけど、そこまでのものはなかった。ので、トロンボーンも続けています。
同時にピアノもそれなりに注力し、だいぶ弾けるようになりましたが*9、ピアノってプロの領域がとんでもなく高く、やればやるほど懸隔を実感して凹む、という風になりがち。
しかし、やったらやっただけ、自分の演奏能力はそれなりに上がる…ということでぼちぼちとやっているわけです。

* * *

VUCAの時代、新たなことにチャレンジできるバイタリティと能力こそが武器なのは明らかです。が、体力と、精神的な気力は年々逓減してゆくもので、そのバランスがこの「長い老後」を生きる我々にとっては重要なんだと思う。

自分の凡人性をよくよく理解し、受け止める。
しかしすべてをあきらめずに、淡々と、しなければいけないことと、したいことを行う。

人生のほろ苦さを受け止めていこうと思っています。
ま、引き続きよろしくお願いします。

*1:ので夏のボーナスもほぼ例年並みに出せたし、国からの医療関係者・介護への慰労金も含めて職員の持ち帰りは増えたはず。

*2:患者さんでそういう業種の話をきくと、かなり大変そう

*3:日本語では大丈夫なのか?と言われると、難しいところですけどね。

*4:コロナがまだ騒がれていなかった1月年初には「今年は久しぶりに海外旅行に行く!」と誓ったものですが笑

*5:エスカレーションしないように実名でやっています。実名だとやはり不穏当なことをいうのにブレーキがかかる

*6:正直に言うと、裏付けは不要であるから、ツイッタランドのすごい人のうちの幾人かは盛り盛りに盛っている可能性もある

*7:もちろん早すぎることで先行投資の失敗例も増えますが、これはこれで仕方がない

*8:もちろん、ポテンシャルが低いわけでもないのが面白い。歯車が噛み合って、成長する人もいる

*9:コロナ禍が幸いして家にいる時間も増えたし