半熟ドクターのブログ

旧テキストサイトの化石。研修医だった半熟ドクターは、気がつくと経営者になっていました

新年度 コロナのワクチン

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うなだれる中年, 2021年。

おー!気がつくと新年度になって一週間経ってしまった。
子どもたちの春休みも終わり、ここから2021年度が始まる。ちゃんとしなくちゃ…

去年みたいに、昨年度の振り返りをしないとな……と思いつつ。
時間作ってまとめます。

ワクチン

コロナ、コロナ、コロナ(SARS-CoV-2、Covid-19)……
第三波は終わり、ワクチン普及を待っている状況なのに、大阪では爆発的な増加が止まらない。上げ止まってもいない。
うーん。東京はまだ増えていないが、大阪は来たか… 
大阪から当地までは結構近いし、なんなら近畿圏からうちにアルバイトに来てくれてる先生もいるわけで。
いやだなあ。

ちなみに、私のいる病院は、感染拠点病院でもないので、ワクチンはまだ配布待ちの段階。
来週には打てるみたいだけど。

それにしてもファイザーのワクチン、筋肉痛とか倦怠感とか発熱が半端ないらしいね。
けど、今回のワクチンはmRNAを体内に入れるという意味では、めちゃめちゃ普遍的なプラットフォームなわけで、今後様々な領域の治療が、このmRNAワクチンを介して行われることができるんじゃないかと思うのだけど、どれもこんな痛いんだったらいやだなあ…。と思う。

ワクチンの希望数の集計と分配については、ICTを駆使したスマートなものといきたいが、かなり泥臭い作業で行われているようで、いやはや関係機関の事務方お疲れ様です。
多分、太平洋戦争のときに南方方面に物資を供給する主計官くらい混沌と焦燥の作業だったに違いない。*1
表からみれば、自動販売機にみえるけど、裏から見たらおばちゃんがお金うけとってジュースを手でもって落としてる…みたいな感じだと思う。*2

透析患者のワクチン接種について

医療従事者のワクチン接種も先に述べたとおり、予定からだいぶ遅れている。が、まあ1〜2ヶ月の遅延でなんとかなるとは思う。*3
しかし、その後の高齢者・基礎疾患のある人に対するワクチン接種については、もう65歳以上一律に配布という状態のようだ。
ワクチンが速やかに潤沢に供給されるならそれでもいいだろうが、結構3ヶ月単位で遅延が生じるのではないかと思っているが、その際に、「基礎疾患」のある人については、優先配布とはならないのだろうか……。

というのは、当院は透析が大きな柱であり、透析患者さんというのは、コロナでの死亡率が高い。
大都市圏でも透析患者さんの感染は、医療提供体制のボトルネックになることが結構多かったときく。

透析患者さんは、

  • 週に三回集まって医療をうける
  • コロナ感染した場合の重症化・死亡率が高い
  • 患者全数が把握しやすい(患者リストはすぐに作れる)
  • 高齢者の全数にくらべると、遥かに患者全数は少ない(1%程度)

という特徴があるから、集団で先行接種を実施しやすいし、その恩恵も大きいことは明らかだ。
先日県の保険担当のワクチン担当とお話する機会があったが、当然透析医療機関の長としてそのことを告げたが、
事務処理的に難しい…というありがたいお言葉で、いなされてしまった。もちろん口頭である。*4
もちろん、上述したように、ギリギリの事務的リソースでやりくりしているから、基礎疾患の患者だけ優先配布のような煩雑な工程をはさむことは難しいんだろうなとは感じた。
ただ、熊本市では透析患者の優先接種が計画された、とも聞く。
県単位で事務処理能力の余裕と先見性など、色々な事情があるのだと思う。

患者団体の全腎協が十分アクティブな時代であれば、もっと早期に国に働きかけることができたんじゃないかとは思う。
多分現在の全腎協には、そういう過激さ、活発さはなく、穏健な患者団体であれば、あまり喧嘩もできないのではないか……と思う。
政治とのコネクションもかつてほどではないのかもしれない*5

ところで、透析患者さんのワクチン接種であるが、透析開始前に打つことができたら、その後3時間は臥床しているわけで、経過観察も容易だと思う。
けど、さすがに筋注して透析してヘパリン化するのは、内出血とかを助長するので、そういうわけにもいかないだろうという話になった。
でも別日に来てもらうのもなーと思う。

*1:個人的には、民主党政権化の「事業仕分け」にやり玉に挙げられた官僚、を付け加えれば、官僚受難ワースト3に入ることだろう…

*2:ラブホテルの自動会計機は、きっと機械じゃなくておばちゃんがやっているに違いないんだ。しらんけど。

*3:大都市はしらない

*4:透析の患者さん「だけ」を特別視するわけには、というお言葉もいただいた。確かに各専門学会からの提案をとりまとめたものが厚生労働省にはあった。重症化しやすい患者さんのカテゴライズは各学会ともすでに終了はしているようだ。ただし絶対的なマンパワー不足の中で、優先設定ができるかといえば、なかなか難しい、というのが実情のようだ。

*5:このあたりは僕もあまり詳しくないのでコメントできないが、地方支部をみる限りは高齢化が著しくアクティブとは言いがたいのは事実だ。現時点では透析関連団体の政治力はシルバー民主主義に負けている