というわけで、病院の建て替え計画では、
・あまり新規なことは考えない。
・床面積の問題もあるので斬新な意匠とか考えない
と考えたわけです。
んー。ちょう消極的…
これって「全く何も考えなくて既定路線を継承する」と同じっちゃあ同じなんですけれども、一応「敢えて」そうした、と言っておきたいです。
正直にいえば、今後医療業界は衰退局面に入るのは明白なのだから、分不相応な規模拡大など笑止、と思ってはいました。
ただ、新しくしなければ次の20年は戦えない。だから新しくする。
でも、でもでも堅実に。
たとえば、車買い換える時に、検討段階ではいろいろ夢をみます。ベンツ、フェラーリ。
でも新しい病院は、ベンツじゃないんだ、カローラなんだ。カローラからカローラに買い換えるんだ。
だけど、カローラだって、フルモデルチェンジしたやつは、結構いいはずなんだよ。
こういう風に念じて、新しい病院のプランを練ったわけです。
新しいですから、かなり綺麗になりましたよ。今の時代の「当たり前」は、患者さん用のスペースは広く、それを守る限り、かなり快適な感じにはなります。
だけど、公的病院だったら、玄関ロビーとかそういうところに意匠を凝らしたスペースがあったりします。
元職場の市民病院は高台で土地が潤沢にあるので、まるで美術館のようなエントランスで、ロビーもゆとりのある空間。壁面も全面ガラス張り。
ドアも立派なのがついてます。
大きく開放的な空間や、全面ガラス張りとかは、そういうのが、建築の「格」ってもんだと思うんですが、めっちゃコストがかかる。
だから、そういう部分では極力見栄をはらず、窓の大きさはフツー、ドアの大きさもフツー。過度に贅沢しないように心がけはしました。与えられた空間と選択肢のなかで、最大限広くに見えるようにはしましたけれど。
意匠性も、あまりエッジを狙いすぎないようにしました。今回、病院のデザインは、クリーム色とか木目を活かしたやわらかい感じにしてますけど、これ実は10年前のトレンドで、ここ最近は病院の意匠は変化しつつあります。
その流行にのってもよかったんですが、まあ無難に5年前の流行に、あえてあわせてます。
まるでゆるふわ女子が、プチプラファッションで、男に迎合するようにだな(笑)
ただ、そのまま「中小企業やで」的な病院を建てても、夢もなく、面白みもないので、一応頑張ったところはあります。電装系というか、院内インフラとしての事務環境は、割と頑張りました。
これはこれでべらぼうに金がかかりましたけど。