半熟ドクターのブログ

旧テキストサイトの化石。研修医だった半熟ドクターは、気がつくと経営者になっていました

電子カルテの手切れ金

いまうちの病院は建て替え中です。

それに従って、電子カルテの変更を計画しているのですが、これがなかなか。

そもそも、電子カルテって、変更したくてするもんじゃないよね。

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今使っている電子カルテは、診療所~小規模病院向けの比較的軽快なシステム。それを数年間オーダリングだけで運用し、同じシステム上でカルテ記載も始め、なし崩し的に電子カルテ運用になったという経緯です。

所詮は小さい病院だし、電子カルテに多くを望まなかったので、現行のシステムでも十分だと思いましたし、今でもその思いは変わらないのですが、このカルテはDPCに対応しないらしいんですよね。

現在うちの病院もDPC準備病院で、いずれDPC移行を予定しているわけです。このカルテがDPC対応しないなら、続けるわけにはいかない。他の部門支援ソフトとのからみもあり、やむなく電子カルテの更新を計画することになったわけです。

と、そこで問題になるのは、システムを更新するときのデータ変換。


電子カルテのデータの移行。

それは当然前のカルテの会社に依頼してデータの出力をすることになります。

それが、めっちゃ高いらしいんですよ。トホホ。

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まあ、前のカルテの会社にしてみれば、契約解除して他のカルテに乗り換えられるわけです。親切にするいわれはまあ、ありませんわな。

長年連れ添ってた夫婦の夫が、若い女を作って出て行くんだけど、旧妻に、いま使ってるタンスとか家具持って行っていい?って言われるようなもんで、勝手にさらせアホウ、そやけどタダで持ち出すつもり?それなりの対価は払ってもらうでえ。

てなマインドに違いない。

すごく困ってるんですけど、多分こういう困りって、あまり表に出ないと思うんですよね。

だって、電子カルテを変更しようと思っている病院の、しかも意思決定者だけですよ、困るの。

全国で数百人程度のもんです。

でもその数百人は本気で頭を抱えてる。

電子カルテも黎明期には中小様々なものが乱立しました。今後は堅実な数社に収斂していくでしょうし、その流れはもうはじまっています。「間違った」カルテを選んだとこは、他社への乗り換えを余儀なくされる。そしてその時どえらい目にあう。

もう、泣きっ面に蜂ですわな。


ハリウッドセレブみたいに、結婚するときに別れたときの契約書を作っておく、みたいなことはできないんでしょうか。

しかし問題が発生するのは、しかし市場から退場するカルテを使っている病院が他社のものに乗り換える場合なので、今後、いろいろなところで問題が発生するのではないでしょうか。


もしくは、厚生労働省に、中止時のデータ移行についての規格を決めておくとかして欲しいです。いや、マジで。

何しろ電子カルテっつーものは導入しても一切利益を生まない代物なわけ。しかもそれの交換代だなんて…サンクコスト中のサンクコストです。

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明治維新後に「勝海舟」がこんな事を言っていたらしい。 

「幕府ってモノは、しつけ糸一本を抜くと簡単にバラバラになるように東照大権現様(徳川家康)が最初から作っていたんだよ」 

勝一流の冗談であるのだが、

まるでそういうシステムでもあったかのように体制の交代がスムースにすすんだのは事実です。

電子カルテも、そうやって、スムースに体制の変換ができるようにしておいてくれ!