半熟ドクターのブログ

旧テキストサイトの化石。研修医だった半熟ドクターは、気がつくと経営者になっていました

イリボーおそるべし

まあ聞いてください。

僕はもともとIBS(過敏性腸症候群)の気がありまして。

月に一度くらいひどくお腹が痛くなり、下痢をするのです*1。別に食べたものが悪いわけじゃなくて、排便をした後は症状はすみやかに改善するんですけれどもね。

 先日もまた、IBSによると思われる下痢がありました。

 しかもそれが出勤して家を出る直前だったんですよね。朝出勤直前にお腹がぐじぐじしてまいりまして、

「大丈夫かな~

 大丈夫かな~

  我慢できるかな~

   やっぱあかん!」

 と車を出しかけたところで、ギブアップ。トイレに逆戻り、一応なんとなく始末をつけて脂汗流して車に乗ったわけです。病院までは30-40分。下痢の波のIntervalとしてはギリギリ。

 案の定、通勤の車内は、なんつーか、脂汗地獄。もう、漏らしてやろうかいとなんど思ったことか。こういうとき電車通勤じゃなくて、自家用車だと楽だよね。いや、楽じゃなかったんですけれども。

 出勤し、大慌てでトイレに駆け込む私。排便にて開放される腹部の痙攣。しかし今日の波は頑固だなあ、と引き続き下痢にてトイレに篭っていました。大体自分の場合、このIBSによる下痢は、3回大きな波が来たらひと段落するわけなんですけれども、その日に限っていまひとつ終わりが見えてこない。

 あ、そうだ!

 最近、「イリボー」という薬が発売されたのですが*2、これは化学療法に伴う吐き気に対する制吐剤の用量を低くしたHT3拮抗薬で、下痢型過敏性大腸炎の患者に対し適応があります。男性限定。

 うちの病院にはまだ入っていないのですが、私も消化器Drの端くれ、MRさんにもらった試供品が自分の医局の引き出しにあるわけです。

あーそうだ、あれ、今の症状にぴったりだよ、あれつかってみよ。

と、イリボー5mgを服用してみま し たところ

 服用後 確かに下痢は止まりました。

 しかし、腸蠕動がまったく消失し、もんのすごい腹部膨満と吐き気・腹痛がでてきたわけです。

 腹部レントゲンをとると大腸にガスがぱんぱんに張って緊満しております。小腸にもガス像あり!

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 大腸カメラをするときにブスコパンを注射したあと、カメラ中に過送気してぱんぱんになった人が訴える痛みに近いように思いました。セロトニン拮抗による腸管蠕動消失によるものなんでしょう。おそらく迷走神経反射などもあるでしょうから、このとき、僕の血圧は下がっていたはずです。

 それよりもなによりも腹が張って、痛くて痛くて。

 イリボー恐るべし。

 確かにものすごい薬効作用だが、ブスコパンはすぐ作用が切れるけど、この薬、全然きえねーわ。

 問題は、なんでこんなに空気が入ったかですが、

腹部膨満がひどい時に僕はよく呑気してげっぷして、みたいなことをするんですが(昔車酔いになったときよくやっていた)そのせいかなーと思いました。

 あんまりにもひどいので、高圧浣腸の時に使うネラトンチューブにて直腸付近のガスを脱気し(トイレで自分でやるの怖いね)、症状はやや改善しましたが、蠕動は3-4時間止まったままでした。午前中は仕事になりませんでした。ナウゼリン服用で少し持ち直し、今日は当直だったのですが、午後からはなんとか通常運行(通常うんこ)となりました。もっともうんこは丸二日でませんでした。

 イリボー、身をもって体験しましたが、使い方を選ぶわこれ。

 ものすごい効くことは良く分った。

 多分、朝出勤前の下痢症状の波が始まった段階で飲んだら、ものすごい福音となりえたのではないかと思うんですけれども。今回は飲むタイミングが悪かったと思いました。あと自分自身の呑気の癖をなんとかしないと、自分には使えないな。

*1:尤もCFはしていないので器質疾患の否定はできていないのですが

*2:イリタブルボウエルだからイリボー、おいアステラス製薬よいつから小林製薬になったのだ