私は一応医者ですので、医療関係者が「梯子を外された」話と聴いてぴんと来るといえば、あっちへふらふらこっちへふらふらの厚生労働省の政策誘導でしょうか。
年度毎の改訂で、××加算みたいな新しいルールを作る。すると、その算定要件を満たすように医療機関は設備投資をしたりするわけですが、数年経って大方の医療機関がこの加算ルールに見合うような体制が整えてしまうと、加算自体を廃止してしまう。
結果として、医療機関が「自己努力」で設備投資をした形になり、国家の懐はそれほど痛まないという次第。
ま、医療関係者の抱く感想として、「厚生労働省」ひどいという話になるわけなんですけれども、ひどい話だと思いませんか。
医師が「はしご外し」と聞くと、十中八九はこれを思い浮かべると思いますけれども、今回はそういう話ではありません。
医局の同僚に、オーディオ好きがいまして。
僕はCDはアホほど買う人間ですけれども、ハード面、つまりオーディオ機器にはそれほど関心が無かったんですが、世の中にはソフトにはさっぱり関心がない割にハード面に詳しいという人が結構いるものでして、彼もその一人でした。
それまで僕は、スピーカーこそDaliというメーカーの、これはまあまあいいものですが、アンプはいわゆるAVアンプしか持っていなかったし、CDプレーヤーに至っては、プレステでした。プレステで光ケーブル出力にして、このAVアンプで鳴らしていた。ま、それで良しとしていたわけです。
オーディオ好きではない皆さんにはぴんとこない話ですが、AVアンプというのは、オーディオマニアから見ると「AVアンプぅ~?」と小一時間ほど問いつめられるような代物なんです。
AVアンプはいわゆるホームシアターのためのもので、左右、センター、左右のリア、ウーファーの6種類のスピーカーから音が出る、いわゆる"5.1ch"のためのアンプです。5.1chは、6つのスピーカーで音を出すので、一つ一つのスピーカーのクオリティはそれほどまでには重視されない。一方、CDは左右のスピーカーから鳴らすのが本道であり、5.1chシステムのアンプではスピーカーをちゃんと鳴らしきれない、と、そういうものらしいんですよ。
いうたら5.1chのスピーカーはみんなで力を合わせてモーニング娘。とすれば、CD用のスピーカーはピンで売り出すタレントのようなものです。5.1chの中ではいいスピーカーでも、単品にしてみるとそんなにぱっとしないぞ後藤真希、みたいな話なわけです。
ま、そんなわけで、前々からステレオは改善の余地ありだとは思っていたわけなんですが、ステレオって、何から手を付けたらいいのか、素人にはちょっとわかりかねるところがある。何しろ、オーディオ界というのは数ある男の趣味界の中でも、かなり深い沼の一つで、ヘタにはまってしまうとえらいことになる。
そういうわけで、オーディオに詳しい人からアドバイスを受けると、非常に有り難いわけです。結局彼の薫陶を受けて、僕の求めているレベルにおいての最適解といっていいんじゃないかということで、DenonのアンプPMA-2000AEとCDプレーヤーDCD-1650AEを購入したんです。割と標準的な構成ではありますが、ぶっちゃけ、マンションで鳴らすには、これくらいが限界です。
ちなみに音は、やっぱり今までのシステムに比べると格段によろしい。たとえばThelonious Monkの Thelonious himselfとか掛けてみたら、なんかピアノ弾きながらぶつぶつ言っているモンクの文句とかもはっきり聞き取れたりするようになりました。電気マイルスとか掛けても、プチ地獄みたいな音が、もうちょっと地獄じみた音になったり、結構変わるもんです。
で、あー音ええわ、おもしれーわ、やっぱりいいシステムで聴くと違うわー、音楽って楽しーわーと、音楽好き熱が再燃して、年明けから恐ろしい勢いでCDを買う小僧と、化していたわけなんです。僕は。
ところが、その彼が、
「いやー最近僕iPod買っちゃったんですけれども、これが、意外と音がよくってね。
びっくりしちゃいましたよー。
同じヘッドホンで聞き比べてみたんですが、(彼も僕のと殆ど同じ構成のステレオを持っている)、正直J-pop世代の僕の耳には、DENONのアンプのやつより、iPodで鳴らしたやつの方が、正直言って、よく聞こえるんですよねー」
えー!!?
この火照った体を、どうしてくれるの?体じゃないけど。