
空調ファンのついた服、みなさん、持ってますか?
空調服の歴史
空調服、初出は1998年。市ヶ谷弘司氏が株式会社空調服を設立し、世界初の空調ファン付き作業服を商品化したらしい。建築現場や製造現場において使用されるも、当初はバッテリーの問題からあまり普及せず。
リチウムイオン電池の高性能化でじわじわ普及。
2022年ごろからワークマンが空調ファン付きベストを大規模に売り出す(ワークマンは空調ファンそのものは2019年から発売)。
2022ごろ、空調ファンの認知度が一気に高まったように思う。
また、2024年アウトドアブランドのMont-Bellが空調ファンの服を売り出したのも個人的には一つの転機だったと思う。
アウトドアの基本コンセプトは「機械に頼らず自分の肉体で自然に立ち向かう」なので、そのMont-Bellが空調ファンというテック丸出しのデバイスを発売したことは、個人的には「おおモンベル、お前もか」とカエサルばりにつぶやいてしまうエポックメイキングだった。
もちろん、アウトドアのギアはたとえばゴアテックスやチタンとか、テクノロジーの最先端素材をふんだんに使ってて、素朴さとは無縁ではある。だが、あくまで人体の動きが主で、科学動力についてはあまり推奨しない。だからこそ、モンベルの意思決定は興味深かったし、脱作業服、という点で意義はあったと思う。
2025年、いくつかのスポーツブランドで空調ファンベストがぼちぼち発売されているようだ。
今後
温暖化は残念ながら収束しそうにもないので、空調ファンは今後一般のアパレルにもとりいれられていくだろう。おそらく今年の6月から2025年6月1日から、職場における熱中症対策が義務化されたのも対策を加速させるのではないかと思う。
普通の人が普通に街中で着る服で、空調ファンのついた服がそろそろ出るかと思ったが、残念ながら2025年春夏は見送りのようだ。空調ファンはコモディティ化しつつはあるが、まだ「作業服」の範疇をでておらず、2025年現在、まだ「オシャレ」な空調服はない。
しかし、いずれ、一般服まで空調ファンは普及するはずだ。
パリ協定、カーボンニュートラルも踏まえると、広大な空間を冷却するのは、今後一部の人口稠密地帯のみに限られる可能性はある。
しかし、もはや薄着にも限界はある。
ファストファッションブランド、一般のアパレルメーカー、そしておそらくいずれはハイブランドも空調ファンのついた服を出してくるのではないかと思う。
僕は来年が楽しみだ。来年はそういうのがでてくるんじゃないかなー。
知らんけど。
洗練化
さて、こっから先は完全に妄想の未来予想なんですけれども。
空調ファン服が、「作業服」から「普通の服」へ浸透してゆけば、当然デザインとしての洗練化を伴うはずだ。
今の、いかにも「作業着然とした空調服」から「おしゃれ着」への変換が起こるなら、服の中の気流にもより留意されるだろうし、ファンもデザインに優れ、目立たないデザインに進化してゆくだろう。
気流そのものも、より繊細で的をしぼってコントロールする形になるんじゃないか。
今の、作動中にはダウンジャケットのように膨らむ外観ではなく、はためいているが、シルエットは大きく変わらないように作り込みがされてゆくに違いない(あるいは、その逆でスカートなど終端が過剰に風でひらひらさせるデザイン効果を強調するような服も出現するかもしれない)
「Intra-Garment Aerodynamics」(衣服内流体力学)のような学問ジャンルができるのではないかと思う。
扇風機からクーラーへ
ただ「空調ファン」は、基本、扇風機だ。
体表面の汗による気加熱を利用して体温を下げるというメカニズムだが、高湿度の状況においては必ずしも有効ではないし、真夏日の屋外作業について、常に40℃を超える環境には、この方式では限界がある。
考えたくないが、2030年ごろには、真夏は40℃を越すのが当たり前になるかもしれない。
現在でも、最近はペルチェ素子を利用して温度を下げるメカニズムも併用されているが、最終的には、遮蔽性の高いボディスーツによって、内外の気温差を作り出すような、真の「空調服」も台頭してくる可能性もあると思う。
これはもはや防護服に近い。
そう、漫画「惑わない星」のように。

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いずれにしろ2030年代に入って、かつての我々の、夏の光景、タンクトップなどの薄着を着ている映像を、その時代の若者にとって「うわっ…はずかしww。ほぼ裸じゃんww」と受け止められるのかもしれない。
「ビーチボーイズ」とか。