半熟ドクターのブログ

旧テキストサイトの化石。研修医だった半熟ドクターは、気がつくと経営者になっていました

「正常化バイアス」にひきずられた第六波

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2022, 自宅

コロナ・コロナ・コロナ(Covid-19, SARS-CoV-2)……
第六波が来ている。割とひどいことになっている。

全国のコロナ患者感染者数は連日最高値を更新し、我が広島県も全国に先んじて感染爆発が起こった。
私の住んでいる街は、県内でもやや遅れがあったもののきっちり感染が市内を席巻しており、まん防の発令以前に、外出を自粛するに至った。
もう三週ほどステイホームが続いている。
おかげで、楽器を触る時間が増えてはいる。
ジャズってコミュニケーションなもんだから、コミュニケーションできない独奏って、煮詰まる。

第六波の予想

オリンピックが終わり、緊急事態宣言が終わり、日本では、とめていた人流をもとに戻したにも関わらず、感染者数はどんどん減少していた。
しかし海外では秋口に入ってからめっちゃくちゃ感染拡大、爆発が起こっていたのである。
しかし、日本国内では「対岸の火事」とでもいうべき状況で、全く平穏な日々が続いていたのは皆さんご存知の通り。

私も、経営者で数百人という職員を統括するという立場でありながら、この海外と日本とのギャップを、きちんと解釈しきれていなかった。
今そうであるように、いつかコロナは再上昇に転じるということを。

海外の状況がいずれ日本国内でも同様になる、ということは、ちょっと考えればわかる。
今までもそうだったわけだし。
それでも12月くらいの状況では、なんかこの平穏な日々がずーっと続くような気分にさせられていた。
多分、これって、「ずーっと続く」と思っていたというよりは「ずーっと続いてほしい」って思っていただけだよな、と思う。
いわゆる『正常化バイアス』というやつに引きずられていた。

正常性バイアス(せいじょうせいバイアス、英: Normalcy bias)とは、認知バイアスの一種。社会心理学災害心理学などで使用されている心理学用語で[1][信頼性要検証]、自分にとって都合の悪い情報を無視したり過小評価したりするという認知の特性のこと。
(wikipedia)

さらにオミクロン株の流行は、今までの株にくらべて予想以上に早かった。
この正常化バイアスで我々の反応が遅れたことと、オミクロン株の早さが合わさって、奇襲というか「ビックリ!」効果であったように思う。
幸い県の対策委員会議などの発表を早期に見る機会はあったので、この正常化バイアスは、比較的早期に修正することはできた。
情報のアンテナは当然ながら張っているので、その辺で遅れをとることはないのだけれど、本当に賢い人は12月の時点で、現在の状況は十分予想することはできた、ということだ。あとになって振り返れば、これは自明だった。
備蓄物品の確保などで読み違えた面は否定できない(特にコロナの診断キットなどは、11月12月にガッツリ確保することができていれば、今こんなにやりくりに困ることはなかったのになあ……とは思う。)
もし自分にもう少し賢察が備わっていたら……と思う。

今後

さらにいうと、このオミクロン株は、世界的に見れば早期にピークアウトするのが特徴ではあるのだけれど、これも「早期にピークアウトしてほしい」という願望に引きずられている可能性も考慮しておかなければいけないとは思う。

今バッキバキに感染流行を起こしている国では、マスクとかもしていないし、流行が行き渡ったら終息にむかっているだけ、という状態であるならば、日本のようにディフェンスを固めて感染者数、感染率が増加しないような戦略をとる場合に、感染流行期間が短く終わる保証もないはずだ。絆創膏をベリッとはがすのか、ゆっくりゆっくりはがすのか、の違いのようなもので、痛みを避けてゆっくりゆっくりはがす場合、最終的に痛みの総量が増える可能性も否定はできない。
本当のところはどうかわからない。答え合わせは多分2〜3年後なんだと思う。

オミクロン株は軽症、というのも、これも完全に願望に過ぎない。ワクチン接種していない人の重症化率は、デルタよりは低いがやはりまあまあの率らしい。
やれやれ、「人は見たい現実しか見ようとしない」という言葉はジュリアスシーザーから2000年経っても有効らしい。

我々としては映画「Mist」のラストみたいにならないように絶望で愚かな行動をとらないようにするだけだと思う。

新年!

あ、今年初めてのエントリでした。
今年もよろしくおねがいします。