半熟ドクターのブログ

旧テキストサイトの化石。研修医だった半熟ドクターは、気がつくと経営者になっていました

うまくタマを回せない

f:id:hanjukudoctor:20211021075546p:plain:w350
2021年 香川

コロナ・コロナ・コロナ(Covid-19, SARS-CoV-2)……

緊急事態宣言が終わり、人流も少しずつ戻っている。
しかし不思議なことに、首都圏でも地方でも新型コロナウイルスの感染は未だに減り続けている。
コロナはすっかり落ち着いたように見える。

第五波が終わり、緊急事態宣言が終了する。
そあするとRは1以上となり感染者数は再上昇に転じる、という予測をした人は多かった。
私も当然そう思っていた。
しかし現実はそうはならない。
数週間のタイムラグがあるとはいえ、間尺にあわない。

いろんなファクターがありすぎて、何が起こっているのか正直わからない。
多分答え合わせは来年度以降なんだろうな。

それ以前に、中国が2019年の段階でPCRの機械を大量発注していたというニュースが気になる。

球回し

前回書いたが、47歳になった。

コロナで活動性が落ちたからかもしれない。
緊急事態宣言が明けてから、活動はすこし増やしてるけれど、びっくりするほど力が落ちている。体力というか、精神力というか。

かつて私は時間をめいいっぱい使って活動する人間だった。医師として経営者としてジャズ・ミュージシャンとして縦横無尽に活動していた。

どちらかというとマルチタスクに長けたタイプだ。まるでジャグリングのように様々な事柄を同時並行で扱うのが得意だった。

夜間の救急や、内科の初診外来でも、同時並行で、患者さんの待ち時間を最小化すべく、検査のタイミングや時間を見計らいつつ、数人の患者さんの診療を「さばく」。患者さんをできるだけ待たせないようするのは結構得意だった。
(これは向き不向きが割とでる。丁寧に一人ずつ診るのを好む先生もいる、同時並行で診療を行うことを厭わない先生もいる)
要するに、多重課題が割と得意だったのだ。

そのスキルはプライベートでも活用していて趣味に仕事に同時にこなしていた。東京や大阪などの大都市に、経営セミナーや学会など年間30回くらいは赴いていた。出張の合間には買い物に行ったり、ジャズの店にセッションに行ったりもしていた。

ジャグリングでは同時にいくつの球を回せるかの能力が競われる。
あの頃の僕は、例えば、入院患者20人でタマ3つ、外来でタマ一つ、研究や学会発表でタマ一つ、経営でタマ2つ、ジャズのセッションとかやっているバンドのマネジメントでタマ3つ、家庭のことでタマ一つ、交友関係でタマ2つ。
合計タマ13個!
みたいな感じだった。
同時並行でジャグリングしていた。
それが別に苦じゃなかった。

ある場所では「あの人は本当は3人くらいいるんじゃないか」とか言われていたらしい。
とにかく、活動性は高かった。
(もっともこれは、ある程度以上のポジションの人の普通だとは思う。全国を飛び回って講演しているような医師や経営者の方々は、僕よりももっともっと球回しが得意なはずだ)

しかし、コロナが生活を一変させてしまった。
最近はそういうジャグリング能力はめっきり衰えた。
今では同時に扱えるタマは7個くらいじゃないかな。10個は無理だ。

そうやってジャグリングを行うことで得られる自己肯定感も、めっきり失われてしまった。

今では「吾唯足知」という心境になって、あまりスケジュールを入れない。
とはいえ、同年齢の平均からするとまだまだかなり活動的ではあるとは思いますが、ポストコロナどうなるのかがわからない。

ポストコロナ、ということであれば、前みたいな喧騒の世界に身を置くのかもしれないし、
ウィズコロナの世界であれば、あまり行動は増やさず、思索を深めていくことになるのかもしれない。

まあ、ライフステージとしても40代なかば。
ダウンシフトの時期だとも思うし、それがコロナ禍という社会的な変革点とたまたま合致しただけなのかもしれない。