半熟ドクターのブログ

旧テキストサイトの化石。研修医だった半熟ドクターは、気がつくと経営者になっていました

99%のn乗は…

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これは2019年6月の横浜。
気がつくと7月。
今年は梅雨も梅雨らしくないなあと思っていたが、
もうすぐあけるころかな、という段になって、最後の最後で梅雨らしい。
日がな雨が降っていて、少し冷たい雨も、もやった風景も、ぬるりとした空気もそれなりに心地よい。

よいお湿りではないかとは思ったが、とばっちりを食って、野外演奏の予定がなくなってしまった。
それにピアノの弦が影響を受けて、ピッチが結構くるう。*1
まあいいや。

* * *

今年に入って、意図的にBlogを書く量を増やしていた。
hanjukudoctor.hatenablog.com

具体的には本とか音楽とかの紹介ページについては、一日一エントリ。を堅持するようにしていた。
予約投稿で一週間分くらいを貯め、しかし意外にストックもすぐ使い果たしてしまう。
本を読む、書く。
この繰り返し。

半年これを頑張ってみた。
同時に、この「半熟ドクターのブログ」を一週間に一度の目安に書いていた。

あとジャズに関するブログを、これは不定期に書いていた。
800字x30+3000字x 4くらいで、最低でも3~4万字くらいを書き、Blogに費やしていたことになる。

* * *

7月に入って、Blogを書くのをぱたりとやめた。
halfboileddoc.hatenablog.com

* * *

Blog連続更新をしてから、頭で考えたことを淀みなく文章にする能力は、一定のラインに達したように思っている。
10以上前、独身の頃さかんにウェブに文章を書いていた往年の勘はとりもどせた。
4000字くらいの文章も、一時間でかけないこともない*2
その意味で、書評ブログの効用は大きかった。

それでも、一旦足をとめたのには色々理由がある。

  • 7月はお互いに関連のないライブが3本(ジャズ(しかもピアノで!)、歌謡曲バンド、ファンク)および、お互いに関連のない学会発表とか講演が三題あった(いずれも小ネタだけど)。こういう時、僕は逃避行動としてBlogを書く方に逃げがちなのである。*3
  • 「アウトプット保存則」なのか、仕事での文書を書くときに「めんどくさいな」と思う瞬間が何度か訪れた。あんだけ個人の趣味でブログ書いてるのに!優先順位の再確認。
  • 「書かなきゃいけない」という強迫観念がQOLをおかしはじめたから。180日連続更新、という負荷は、精神衛生上よくなかった。僕は本来もっとテケトーなやつなのだ。「頑張る自分」みたいな自己陶酔は、多分他人に対する優しさとか寛容さを目減りさせる。
  • 最大の理由は、今のスタイルで一日一本の本の紹介を続けても、進歩がないように思われたことだ。この前読んだ佐藤優氏の本で気付かされたことだが、すぐ読めて、すぐ紹介できる本は、所詮その程度なのである。今年に入って本の紹介を180記事くらい書いたなかで、本当に時間を費やして精読した本は10もない。あまつさえ、深い印象を残した本は、ブログ記事さえ書けないものである。去年の今頃読んだ『サピエンス全史』と『ホモ・デウス』は巷間の評判もさることながら自分にも大きな意味をもつ本であったが、いまだに下書きのままである。読書が「紹介ありき」になっていて、紹介しやすい歯ごたえのない本読もうとしていないか。意義のある本をじっくり読み込んだ方が、人生にとっては有用なのではないか、と思ったりもしたためだ。

hanjukudoctor.hatenablog.com
halfboileddoc.hatenablog.com
(これはいい本でしたよ。佐藤優氏は、基本的には「厳しい」ことを書くのだけれど、やはりそれだけ研鑽を重ねて今に至った静かな自負心がそうさせている。ある種誠実な厳しさなのである)



* * *

ということで、毎日の鍛錬、という気分と名目でBlogに浸淫していたのだが、やめた。
バランスをとりながら続けていきたいと思う。

* * *

よく、ビジネス本とか教育本で

日々の継続が大切です。
100から初めて、
毎日1%の成長を一年続けたとすると、
100 x (1.01)*365乗=3741
反対に1%ずつ能力がおちていくとすると
100 x (0.99)*365乗=2.58
こんなに差がついてしまうんですよ!

みたいなことを書いてあるじゃないですか。
ま、指数関数的な上昇は生物学的な上限の中では起こりえないものですが。

Blogを書くというのにしても、確かに往年の勘はとりもどせたけれど、それ以上にすごい執筆能力がついたとは思わない。
RPGであるような経験値集め、レベル上げ、的な要素はあるけど、これを続けても、レベルは上がらない。
「転生チートもの」で、スライムだけを倒してレベル99になっていた、みたいな話あるけどあれは現実社会では幻想だ。

ただ、筋肉とかトレーニングに関するやつは、 「0.99のn乗…」みたいな話がわりとしっくりくる。
5-6年前は、ジョギングとかをきちんとしてて月100kmくらいは走るようにしていた。
そういう頃は結構走れてた。
出張旅先ランで、皇居ランも時間があれば二周できていた。

ところが、最近はジムには合間をみつけて行くが、家からランニングに行くことがなくなってしまいました。
そうすると、心肺機能も脚の筋肉も落ちる。
久しぶりに走ると、5kmはおろか、1kmをかつてのペースで走ることさえできなくなっている。
まあ、筋力ってじわじわじわじわ落ちるんだなあと反省。
このへんの感覚は、確かに 0.99のn乗がしっくりくるかもしれない。

ともあれ、成長・怠惰の教訓としての 99%n乗の話は、
いたずらに行動を縛る呪いの言葉になりかねない、と思った。

*1:そういうことはピアノを自宅に購入してはじめて知った

*2:むしろ手直しに時間をかけた方がいい文章になる

*3:残念なことに、演奏の本番のうち一本は雨天で中止、もう一本は諸事情で流れてしまいそうではある