(注:今回のエントリは、所属団体紙に書く一言コーナーのようなところで披露したものを、少し加筆したものです)
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ここ最近「チーム医療」や「他職種協働」が叫ばれています。
おりしも「働き方改革法案」によって、一人の人間がべったり張り付いて責任を持つ、みたいな働き方は今後不可能になりつつあります。
上手に情報を共有して、分担しないといけない時代。
が、今までの医療現場ははあえて言挙げしないといけない程度に、チーム医療でも他職種協働でもなかったのでしょうね。
最近の風潮は、医療現場も一般的な会社組織に近づいてきたのかなと感じます。
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さて、仮の話であるが、職場にある人がいます。
優秀なのである。
部署の平均の人よりは明らかに仕事ができる。
ミスもしないし、量もこなせる。
要するに、すばらしいのです。
そこで、大変優秀な人だと見込んで大抜擢してみる。
部下をつけて、仕事の範囲も広げて、思う存分に采量をふるわせる
……と、これがうまくいかない。
個人としては自他ともに認めるくらい有能なのである。
ただ、他の人、特に自分より年少、もしくは劣っている人に業務の勘所をうまく伝えられない。
他人に自分のスキルを伝えるべき、と思ってさえいない、とう場合もあるし、伝え方を知らない人もいます。
そして、他者にやらせた不出来な仕事を責め、なじり、感情的にマウンティングさえする。
「あの子はできないから」とかいって自分の仕事を渡さない。
そのくせ、忙しい忙しいこんなんじゃやってられないと愚痴をいう。
こんな人、皆さんの職場にもいませんか?
私も他者と仕事や成果を分かち合わず(もしくは合えず)、結果的に低いレベルで己の優位性を保つ人。
いろいろな病院、いろいろな部署で出くわしました。
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医療現場は組織であり、チーム医療です。
お互いに得意な部分は共有するし、標準化・均てん化をしないとうまくまわりません。
その中に、そういう人の予想外の行動で、周りが振り回されてどえらい騒動になることがあります。
能力があるのは確かなのである。
ただ、広がりがない。
周りによい影響を及ぼすような働き方でないと、個人として優秀でも組織全体の改善にはつながらないのである。
上の立場だと、能力があるんだからもっといい待遇にしたい、とも思うんですが、
自分が出来ることで他者を貶めているようだと周りの恨みもかっているので厚遇もできない。
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一定数いるこういう残念な人って、ああ、将棋の「香車」のような人だなと、しみじみ思ったことがあります。
間違いなく歩兵よりは能力はあるわけです。
ただ、周りもみえず限定した動きしかできないので、連携もとりにくく他者もカバーしない。
自分の優秀さを鼻にかける人って、多分自分を飛車や角くらいに自負していますが、惜しむらくは香車なのである。
歩兵と比べている時点で、知れたものなのである。
確かに「香車」ってやつは、歩兵の動きを極限まで高めたものです。
でも、直進のみです。
そもそも駒には他の動き方があることが、見えないのかもしれません。
ほんとうにすごい「飛車角」クラスの人って、職場の同僚なんかどうでもよくて、全国区の人をライバル視しますからね。
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将棋という遊戯はよくできていると思います。
香車が自陣の端っこにいるのは偶然ではないと思います。
ああいう動き方、猪突猛進で他をカバーすることができない人材には中核人材はつとまらない。
陣営の端っこで限定した役割を与えるしかないのです。
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しかし香車は、敵陣に入り、成り駒(=成香「なりきょう」といいます)になれば金と同じ動きになります。
ただしその場合は、今まで誇っていた直進能力(猪突猛進の才能とでもいいましょうか)は無くなるわけです。
これは、自分が得意だと自認する才能を頼らない働き方になれば、周りへの目配りができ組織を動かす中核人材への道が開けると示唆しているのかもしれません。
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ま、僕将棋全然やらないんですけどね。
組織の人事を見渡す立場になると、こういう人の振る舞いに、とても傷ついたり、腹が立ったり、傷ついた職員のフォローをしたりするわけなんですけれども、まあ、有為な人材で期待しているからこそ腹がたつわけです。
才能は才能としてあるとして、しかし香車やなオイと思うことができれば、過度な肩入れをしなくてすむ。
そのための言語化ではないかと思う。
*その他のBlogの更新:
半熟三昧:
『完璧なリーダーは、もういらない』 - 半熟三昧(本とか音楽とか)
『ヤマ・ニヤマ』 - 半熟三昧(本とか音楽とか)
『督促OL修行日記』 - 半熟三昧(本とか音楽とか)
『人生の結論』小池一夫 - 半熟三昧(本とか音楽とか)
『ダーウィンの覗き穴』 - 半熟三昧(本とか音楽とか)
『オトコのカラダはキモチいい』二村ヒトシ・金田淳子・岡田育 - 半熟三昧(本とか音楽とか)
ま、どれもオススメですが、読後のスッキリ感からいうと、『人生の結論』でしょうかね。
80男性でTwitterの使いこなしがすごかった、色んな意味ですごいなーと思いましたですね小池先生。
ジャズブログ:
気がつくと、一ヶ月くらい更新していない!いかんいかん。
これはなんだかんだいってある種のCreationなので結構産みの苦しみがあるのですよ。
成長のロードマップ - 半熟ドクターのジャズブログ
というわけで、急遽これを。