半熟ドクターのブログ

旧テキストサイトの化石。研修医だった半熟ドクターは、気がつくと経営者になっていました

自転車とわたし

 春の服は難しいですね。昼は暑いし夜は意外に寒い。

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 四月から、勤務していた病院がかわりました。

 簡単に言うと、住んでいる街の隣の市の市立病院から、住んでいる街の市立病院にうつりました。

 もちろん、前の病院でも公務員でしたが、そこを辞めて、また公務員になるわけです。別に希望したわけでもないんですけれども、まあ、これぞ医局人事ってやつです。

 今は医局人事というものが半ば崩壊しており、最近は研修医も自分の行く先を自分で決めるようになって久しい。自由度が増えた代わりに責任も自分でとらなければならない。医師のキャリア形成に主体性をより問われる時代になりました。

 しかし、外来にて継続した診療を行っている身としては、個人的には医局人事で動かされる方が患者さんには説明しやすい。主体的意志で病院を代わる、ということは、外来での診療関係を打ち切ると決めたことになる。

 初期研修医の場合は患者さんとの関わりも、きわめて短期的なものに限定されますから*1、自分の主体的な意志で異動しても、問題ないとは思う。だが、中堅どころの内科医は何百人も外来の担当患者さんを抱えているわけです。診察室における職業的人格で考えると、この自分の担当した患者さんの診療をまっとうする、という以上の理由というのはなかなかないわけで、そうすると主体的意志をもって病院を異動する、というのがよくわからなくなってしまうわけ。

 医局人事であると「すみませんね。上の決めたことだから」と、言い方は悪いが人のせいにできる。

 まあ、こういう考え方は古いのかもしれません。医師と患者との関係はもっとドライであるべきなようにも思う。でも、相手がドライじゃないわけだから。

 ともあれ、医局人事ってやつで、新しい病院へ異動しました。またそういう病院の違いとか、そういうのはまた整理できたら書きます。

 上に書いたことからわかるように、自宅は引っ越ししていません。なにせ、自分の住んでいる街ですから。

f:id:halfboileddoc:20100425013518j:image:left 前の病院は片道15kmを車で通勤していました。約35分かかっていました。今の病院は片道5km。だけど結構朝は渋滞するんですよね。

 というわけで、晴れた日は自転車で通うことにしました。最近都会の方では、流行っていますし、自転車。

 今回僕が購入した自転車はMASI(マージ)という、クラシックテイストのロードバイクです。これの緑色のやつ。ドロップハンドルはちょっとやりすぎたかもしれん、と今は思っています。


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 とりあえず、異動して一月弱経ちますが、月の半分くらい自転車で通いました。

 以前、引っ越しをしたり家具の配置がかわったりすると、今まで必要なかったものが必要になったり、大事だったものが大事じゃなくなる、みたいな話をしたことがありますが、自転車に乗り始めて幾つか気づいたことがあります。

天気に敏感になる

 車の場合は、Door to doorなので、傘すらも必要なかったわけです。天気がどうあろうと通勤には関係ないですが、自転車の場合、雨ならあきらめなければならず*2、天気予報が非常に重要になってきます。天気を気にする様になったのは、久しぶりです。「夜は案外に寒い」と冒頭書きましたが、自転車でスピードを出すと、ほんと寒いのなんのって。

服に敏感になる

 実はこういうロードバイクは初めてなのですが、踏めばガツンとスピードが出る代わりに、非常に繊細な乗り物なのですな。すべてが軽すぎるせいで全く安定性がない。よく女子高生が携帯でメールとか打ちながらママチャリに乗っていたりしますが、車上でリラックスなどとてもとても。プロの自転車乗りはこげな自転車に乗りながらシャツとか着替えたりするらしいけど、とんでもないことです。まだ慣れないせいかもしれませんが。安全にああいう自転車に乗るのには、結構制約があるものです。自分の動きが服で制限されたりすると、非常に危険です。

 まず、鞄。ロードバイクゆえ、カゴがないので肩掛け鞄を使っております。今使っているやつは、メッセンジャーバッグのような体裁の肩掛け鞄を使っていますが、サイドベルトがなく、背中で安定してくれません。それなりに荷物も入っており、重さもあるのでヒモの長さによっては背中からぐるんと回ってお腹の方に来てしまいます。もちろん、積載量にも限界がある。

 リュックにしたら随分違うのでしょうが、リュックはなー。

 また、靴の厚みで乗り味が微妙に変わる。さすがにそれでサドルの位置調整などしないですけれども。

 あと今までの自分の服のスタイルと、自転車通勤の整合性が、まだとれていません。

忘れ物をしない!

 一度携帯を忘れてほぼ八割方帰ったところで引き返す羽目になりました。車でも情けないですが、自転車だと情けなさ倍増です。

もう中学生

 自転車は、子供の頃に乗っていたせいか、乗ると子供の頃の記憶がよみがえります。

 小学生の時は、友達と自転車鬼(ごっこ)とか、遠くに行ったりとかしていましたが、その後の記憶といえば、自転車といえば、一人でどこかに行った想い出しかない。自転車は非常に個人的な乗り物であると思う。

 僕が孤独な少年時代を過ごしたからかもしれませんが、自転車というのはそういう孤独さを助長する傾向はある。まあ今、割と孤独な感じだからそういう風に思えるのかも知れませんが。

*1:多くの場合、初期研修医の場合は外来はしませんし、何ヶ月かで病院内のいろいろな科を回りますから、患者さんと継続した関係を持つことはありません。

*2:さすがに、雨でも自転車通勤を決行するほどのストイシズムは、僕にはない