半熟ドクターのブログ

旧テキストサイトの化石。研修医だった半熟ドクターは、気がつくと経営者になっていました

社会・文化

医療データの情報共有について その1

日本医師会医療情報システム協議会というものに参加してきました。 電子カルテの未来 WHOに、日本の医療は世界一だと言われていた時期があるのは事実だとは思うが、今はどうだろうか? 日本が技術大国であったのは 90年代までで、今では家電などは韓国・中国…

腎友会のミライ

地域では一番大きな透析施設をもつ当医療法人には、腎友会の支部があります。* * *腎友会。腎臓病の患者さんの団体。 かつては政治的に大きな意味をもっていました。 透析黎明期、透析はひどく高額なもので、家屋敷を抵当に入れる覚悟がないと続けられな…

「介護保険審査会」のマネタイズ

家の近所みなさん、介護保険のこと、どれくらい知っていますか?* * *介護保険は40歳になると全員が強制的に加入するものです。 40歳になると、給与明細に項目が増えることで気づくかもしれない*1。 ただし、介護保険を実際に「利用する」ためには、申請…

家族葬もよしあし

ホテルニューオークラ玄関口のオーナメント。新春の梅。1月はインフル、インフル、またインフル…という趣でしたが、だいぶ落ち着いてきました。 なんとか乗り切ったように思いますが、手洗いのしすぎで、肌がガッサガサです。もう限界*1。* * *長年の患…

インフル狂想曲 その2

前回のエントリーでは、インフルエンザのこと、といってもゾフルーザについて書きました。 hanjukudoctor.hatenablog.com結局ゾフルーザは僕まだ使ってません。患者さんに「あの新しい薬ないの?」とはいわれましたけど、 「あー、あの新薬、テレビではいい…

インフル狂想曲

インフルエンザ、流行っていますね…… 私年末に医師会の夜間診療所の当番をやったんですけど、有熱患者のうち半分がインフルエンザキットが陽性となっていました*1。 患者さんの数自体はそれほど多くはなかったんですが*2、年末年始の民族大移動で、こりゃあ…

医師のSNS投稿は許されるか?

hanjukudoctor.hatenablog.com にも書きましたが、twitterの「医クラ」に、足を踏み入れ、最近はいろいろ交流しています。 おもしろいね、SNS。あと、フォロワーの多い方々の発するつぶやきは、やっぱりおもしろい。しかしTwitterで匿名であれ実名であれ、医…

遠隔診療はどうなったか?

すごい人数でした。興味もっている人は沢山いらっしゃるんですね。この前、第一回日本オンライン診療研究会をみてきました*1。 遠隔診療については、以前にこのようなことを書いています*2。 その1https://hanjukudoctor.hatenablog.com/entry/2017/07/15/0…

地回りMRの未来

どのような文明でも、黎明期には土地が開拓され*1たりして人口が増えて発展してゆきます。 成熟期に入ると単位面積当たりの収穫量は頭打ちになり、コストに対するリターンが逓減してゆきます。 さらに気づかれない形で生産性の低下が先行し、生産性の低下が…

免疫「力」の話

(2007年に旧サイト『半熟ドクター』に書いたものを少しリライトしました) 2018年は本庶先生がPD−1でノーベル賞を受賞され、癌免疫療法の認知度が一気に高まった感あります。非常に喜ばしいことではある反面、高額な民間代替療法としての「癌免疫療法」に患…

塩の効用 その2:

前回の続きです。現代では、高塩分食は、脳卒中・心臓病、腎臓病の原因になることが明らかです。 塩は健康障害の大きな問題であり、長期的には医療費の増大にもつながるはず。 これほど塩分は「よろしくない」わけです。 しかし、なぜ今までは高塩分食が淘汰…

塩の効用 その1:

いま私の所属している医療法人の基幹業務は透析、つまり慢性腎不全の患者さんが多いわけです。腎不全は、当然塩分のとりすぎに気をつけなければいけません。 加えて私は肝臓も専門なんですが、末期の肝硬変で腹水がたまる方にはやはり塩分制限が必要になりま…

メメント・モリ

ACP(アドバンスド・ケア・プランニング)に関する講習会を聴いてきた。高齢であり、多死社会である。*1 仕事として死に立ち会う機会も、個人的にずっと増えたと体感する。いま僕のいる街を見渡してみても、団塊ジュニア世代を当て込んでつくられた結婚式場…

生活保護について、僕が思うこと

そういえば「健康で文化的な最低限度の生活」という漫画がドラマ化され、すくなからず膨れ上がった吉岡里帆の女優価値を少し毀損して終わったことは記憶に新しい*1。 「生活保護」は本来、社会制度でいうセイフティーネットに過ぎない。が、「生活保護」とい…

ピンピンコロリ(PPK)の欺瞞

今週は地域での講話と、別の講演と、妙に忙しい週だった。 どちらも「死」とか「看取り」に関するお話なんであるが、片方はACPとか、死について省察しましょう、というもので、もう一つは「院内で死に際する諸問題(診療の標準化でもあり、リスクマネジメン…

水害のこと

7/6の家の近所の貯水池。ありえないほど水位があがっていてぞっとした。お久しぶりです*1 今になっては、関西での台風21号直撃*2、北海道の地震など多数の災害があり、全国的には少しニュースバリューが薄れつつある今、自分なりに広島県の水害を総括してみ…

時間の非離散化と正月の意味の変化。

気がつくと2018年じゃないですか。前回ブログ書いてから半年経ってるわけで。 あやー。 どうせ年に数回しか書きませんけど、今年もよろしくお願いします。 * * 年末年始は、ささやかながら病院も通常の外来を休みますが、入院はあります。 幸い大学の先生…

応召義務のスマートな回避方法

「先生と呼ばれるほどの馬鹿でなし」なんて言葉もありますが、医師は「聖職者」というくくりで認識されていることが多いわけです。 医師に本当に聖職性があるか?と問われると口ごもる私ですが、ただ、普通の職業と違うんやで?という一端として「応召義務」…

「100まで生きたい」と言われたら

100まで生きたい、という患者さんは結構いる。 診察室で「あたし(おれ)100まで生きたい」っていうのは今まで何度か耳にした。 これについて、どういう返事をかえすべきか?医師のみなさん、どうしてます? * * 若い頃は、普通に「100までですか… それは…

著作と講演

やれやれ。 この前にこのエントリーを書いたのが12月。気がつくと二ヶ月くらい、すぐ経っちゃっている。 やれやれ。 あんなこと書いたばっかりなのにね。 * * 最近は、いろんな人の講演を聴くことが多いわけです。 かつて勤務医として、狭い分野のスペシャ…

DNAR(蘇生処置希望せず)について。

80床くらいの病院で、普通の内科一般診療をやっていますと、すごく若い人が難病に苦しんでいる…なんていう、ドラマになりそうな診療に出くわすことは少なくて。「病」なのか「老」なのかよくわからない全身状態の下降しつつある高齢者の方を診ることが多いわ…

老いについて

こんな書生じみたブログを続けてますけど(いや、続けてないだろお前、と独りツッコミを入れてみる)気がつくと40超えてるわけですよ。 さすがに肉体的な老いを日々の生活の端々に感じることが増えました。 一度に処理できる事柄が減ったり、とっさに単語をど…

電子カルテの手切れ金

いまうちの病院は建て替え中です。 それに従って、電子カルテの変更を計画しているのですが、これがなかなか。 そもそも、電子カルテって、変更したくてするもんじゃないよね。 * * 今使っている電子カルテは、診療所~小規模病院向けの比較的軽快なシステ…

介護利用者の世代変化~団塊の世代をむかえて

前回の日記では日本創生会議と高橋泰先生をとりあげました。 高橋先生、この「首都圏の介護不足」以外にも持ちネタは一杯あって、講演とても面白いんです。 そのネタの一つが、介護利用者の世代変化。 * * 団塊の世代が高齢者にさしかかり、いろいろな変化…

日本創世会議

先月初めに日本創生会議での提言が話題になりました。 首都圏の介護が不足すること、今後地方への移住などをしたらいいんじゃないか、という提言。 介護施設を奪い合う深刻な事態が生じかねない――。有識者でつくる民間機関「日本創成会議」(座長・増田寛也…

愛情銀行

医者になりたての頃は、外来というのは、それはもう大変なプレッシャーだったけれども、16年目にもなった今は、どっぷり外来ばっかりやっているわけです。 私は僻地といっても失礼には当たらないような医療過疎地域で研修したので、一年目から外来も担当して…